バンドでスラップをすると、「音が埋もれて聞こえない」「指弾きの時より抜けが悪い」と感じたことはありませんか?
スラップは派手でインパクトのある奏法ですが、音作りを間違えるとせっかくのアタック感がバンドサウンドの中で消えてしまいます。
この記事では、バンドでスラップがしっかり抜ける音作りを、実践的に解説します。
スラップが埋もれる理由を知る
スラップが抜けない一番の理由は、「中域の欠落」です。
スラップ音はローとハイが強調されやすく、EQをいじらなくても自然とドンシャリ気味になります。
しかし、バンドではこの「中域(500Hz〜1kHz)」が他の楽器とぶつかる領域。
ここが弱いと、ベースが“聴こえない”のです。
EQの基本セッティング
ロー(80Hz以下)
出しすぎ注意です。
ローを上げすぎると、ドラムのキックとぶつかりモワモワした音になります。
少しカットしてタイトに整えるのがポイントです。
ミドル(500Hz〜1kHz)
スラップ時でも、ここをしっかり残すこと。
アンサンブルの中で「抜け」を感じる帯域です。
特に700Hz前後を少し上げると、ボディのあるパンチが出ます。
ハイ(3kHz〜6kHz)
プルのアタックやスラップの“パチッ”とした抜けを強調する帯域です。
ただし、上げすぎると耳障りになるので控えめに。
コンプレッサー後に軽くブーストするのがコツです。
コンプレッサーの使い方
スラップでは、サムとプルの音量差が大きくなりやすいので、コンプレッサーは必須です。
設定の目安は以下の通り:
- レシオ:4:1〜6:1
- スレッショルド:やや深めに(-10dB付近)
- アタック:速め(5〜15ms)
- リリース:中程度(80〜120ms)
これにより、スラップ特有の“パンチ”を保ちつつ、音の粒が整います。
特にライブではコンプなしだとバランスが崩れやすいので注意。
アンプの設定と位置関係
アンプ側では、スラップ用に少しハイ寄りのセッティングを意識します。
ミドルを削りすぎないようにしつつ、ローを軽くカットして抜けを確保。
また、ステージ上でのアンプ位置も重要です。
足元で音を感じるだけでなく、少し耳の高さに向けて鳴らすと、スラップのアタック感をモニターしやすくなります。
エフェクターでの工夫
プリアンプ(例:SANSAMP / Darkglass)
中域をしっかり出せるプリアンプを使うと、スラップでも芯が残ります。
SANSAMPはドンシャリ系、Darkglassは中域に厚みが出る傾向があります。
好みに合わせて調整しましょう。
コンプレッサー・リミッター
スラップ時に強く弾いても割れないよう、リミッターを軽くかけるのも有効です。
EQペダル
スラップ用プリセットを作っておくのもおすすめ。
指弾きとスラップでEQを切り替えるだけで、ライブ中の音作りが格段に楽になります。
ピッキング位置とタッチも重要
音作りだけでなく、手の位置とタッチも抜けに大きく影響します。
スラップの際はブリッジ寄りで叩くと、音の輪郭がはっきりして抜けやすくなります。
また、左手のミュートを意識することで、余分な共鳴を抑え、タイトなサウンドになります。
まとめ:スラップで“抜ける音”を作る3ステップ
- 中域をしっかり残すEQで輪郭を出す
- コンプレッサーで粒を整える
- タッチと位置で音の締まりを出す
スラップは単に派手な奏法ではなく、「音の整理」が重要です。
EQとコンプを味方にすれば、バンドアンサンブルの中で主役になれる音を作ることができます。
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